
妊娠中貧血になりやすい原因は?鉄分の効果と吸収率が高い鉄分補給方法
妊娠中は貧血になりやすく、症状改善に必要な鉄分を意識的に摂取することが重要です。
しかし妊娠中はつわりやホルモンバランスの変化などの影響を受け、十分な食事を摂れない女性も多いですよね。
貧血症状を悪化させないよう鉄の吸収率を高める食事内容を意識し、効率的に鉄分を摂取するよう心がけましょう。
医師から鉄材やサプリメントの使用を指示された場合の注意点も含め、「妊娠中の貧血」についてまとめて解説していきます。
お腹の中の赤ちゃんの健やかな成長を願って、上手にからだの変化と向き合っていくことが大切です。
目次
妊娠中貧血になりやすい原因は?
妊娠中は自分の身体の血液だけではなく、赤ちゃんの成長に必要な血液を作る必要があります。
赤ちゃんの成長に伴って必要な血液量は増えていき、通常時は4リットル前後の血液が臨月には約6リットルまで増えるといわれています。
この時、血液中の液体部分ばかりが増加してしまうことで水っぽいサラサラした状態になり、血が薄まってしまうことも。
血液中の鉄分は優先的に赤ちゃんに運ばれるため、母体となるママの体は鉄分不足に陥りやすくなってしまうのです。
妊娠前から貧血傾向がある方や、体調によって食事から十分な鉄分が補給できない場合、鉄欠乏性貧血が進行してしまう可能性があり注意が必要です。
血液が薄まりがちな妊娠中は、意識的に鉄分を補給できるよう食事内容を見直すことが重要になります。
食事からの摂取が難しい場合は、医師や助産師の指示のもと、鉄材やサプリメントを併用しながら貧血症状を緩和する対応がとられることもあるので、あらかじめ頭に入れておきましょう。
貧血気味になっても栄養は赤ちゃんに優先して運ばれますが、意識的に鉄分をとらなければ低体重児などが生まれるリスクもゼロではありません。
めまいや耳鳴りなど、貧血の症状が出始めたら食習慣を見直し、早めに担当医に相談するようにしましょう。
鉄分はママにも赤ちゃんにも重要な栄養素
そもそもなぜ貧血には鉄分が効果的なのか?という疑問を持つ方のために、鉄分の重要性について解説していきます。
鉄分が不足すると血液中のヘモグロビンと呼ばれる組織が作られなくなります。ヘモグロビンはからだ中に酸素を運ぶ重要な役割をしており、ヘモグロビンがなければいくら空気を吸っても酸素は届きません。
貧血とはヘモグロビン量の不足によって体が酸欠状態に陥った状態であり、めまいや耳鳴り、頭痛、意識消失などの症状を引き起こす原因となります。
酸欠状態では十分な栄養素がからだに行きわたらず、赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼすリスクも。
不足しがちな鉄分をしっかりと補うことで血液の質を改善する効果があるため、貧血対策には食生活の見直しや栄養バランスが重要になってくるのです。
鉄分は爪・髪・皮膚の生まれ変わりのカギを握っている
鉄分は爪や髪、皮膚にも豊富に含まれています。そのため、鉄分が不足し始めると正常な細胞が生成されず、
- 爪が割れる
- 髪がパサつく、抜ける
- 肌が荒れる、化粧のりが悪くなる
などの原因になるといわれています。
鉄分は肌や髪にとって非常に重要な栄養素であるため、不足すると肌つやが悪くなり、白髪が混じり始めることも。
上記のような症状があらわれたら貧血傾向のサインである可能性があるため、積極的に鉄分を摂取できるよう食事内容を見直してみましょう。
鉄分の効果:美肌・美容に役立つ必須栄養素
このように、鉄分は美肌・美容効果にも影響する女性にとって大切な栄養素です。
ただし、鉄分だけを摂取すればいいというわけではありません。
美容・健康効果を高めるポイントは、鉄分とビタミン・たんぱく質のバランスがしっかり摂れているか。
鉄分を多く含む食材と一緒に、しっかりとたんぱく質やビタミン類を摂取することで体内の鉄吸収率を高めることができます。
偏った食事は爪や肌など、女性の美容の大敵。バランスの良い食事は鉄分の効果を最大限に高めるサポートをしてくれますよ。
材料が一部だけあっても、他が不足すれば正常な新陳代謝は行われません。
食事ですべてを補うことが難しい場合、サプリメントを上手に摂りいれることで体に必要な栄養素を手軽に摂取することができます。
妊娠中でサプリメントの摂取に抵抗がある場合は、医師や助産師にどんどん相談してみましょう。
動物性・植物性たんぱく質と鉄の関係性は?
鉄分には大きく分けて「ヘム鉄」と、「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄は非ヘム鉄と比べ吸収効率が高く、鉄の吸収を阻害する食べ物などの影響を受けにくいという特徴があります。
一方、非ヘム鉄は吸収阻害因子の影響を受けやすいものの、ビタミン類などと食べ合わせることで吸収率を上げることが可能です。
◎「ヘム鉄」を豊富に含む食品
- 豚レバー・鶏レバー
- 牛肉の赤身
- しじみ・あさり
ヘム鉄は主に肉・魚類に豊富に含まれており、妊娠中は上記の食品を積極的にとることで鉄分を効率的に摂取することができます。
◎「非ヘム鉄」を多く含む食品
- ほうれん草・小松菜
- ひじき
- 大豆製品
非ヘム鉄は主に植物性の食べ物に含まれています。しかし鉄吸収率はヘム鉄と比べ5分の1程度。
効率的に鉄を吸収できるよう、これらの食品とビタミン類を組み合わせた食事を意識するようにしましょう。
鉄吸収率を高めるビタミンC・葉酸を摂取しよう
非ヘム鉄の吸収率を上げる代表的な栄養素がビタミンCです。ビタミンCは非ヘム鉄の酸化を防ぎ、吸収を助けてくれる特徴があります。
ビタミンCはストレスなどで失われやすい栄養素でもあるため、積極的に摂取する+ストレスを溜めない習慣を身につけることで効果を高めることができます。
また、妊娠中の貧血防止には「葉酸」も重要なカギを握る栄養素。
葉酸は血液中のヘモグロビンの生産に大きく関わっている栄養素であり、お腹の赤ちゃんの発育に非常に重要だといわれています。
妊娠中の女性は特に、意識的に摂りいれたい栄養素の代表で、魚や貝類に多く含まれるビタミンB12と合わせて摂取することで効果を高めることができます。
鉄分に加え、葉酸の摂取量も合わせて意識することで、貧血症状を効率的に緩和する効果が期待できますよ。
また、お茶類に含まれるタンニンが鉄分吸収を邪魔することもあるため、食事の後はしばらく時間を置くなど工夫すると吸収が安定しやすくなります。
鉄材・サプリメントの過剰摂取には要注意!
鉄分を補うことを意識するあまり、自己判断で鉄材やサプリメントを過剰に摂取してしまうのが逆効果!
鉄分の過剰摂取は吐き気や下痢などの胃腸症状や、肝硬変・糖尿病といったより重篤な病気に至る危険性があります。
妊娠中は赤ちゃんにも同じような悪影響が及ぶリスクがあるため、服用は医師の指示に従うことが原則となることに十分注意しましょう。
貧血改善は食生活がカギ!バランスのいい食事を
食事から鉄分を補ううえで、鉄の過剰摂取になることはありません。
肉・魚類、ひじきや大豆製品をどんなに食べても体内の鉄量が増えすぎることはないので、積極的に食事を見直してみましょう。
鉄分サプリもあくまで補助の範囲で収まる量のため、毎日規定量以上を飲むなど無理な摂取を続けなければ問題無いです。
医師から鉄材を処方された場合、鉄材とサプリメントの併用はNG
鉄材を飲み忘れたからと、あとでまとめて服用することも避けましょう。短期間の多量に摂取しても体内に吸収されず、吐き気などの不快症状につながる可能性があります。
妊娠中の女性にとって、鉄分は非常に大切な栄養素。
医師と相談しながら、上手に貧血症状の改善を図ることが重要です。