
亜鉛欠乏性貧血?必須ミネラル「亜鉛」の働きと過剰摂取
あまり耳なじみのない亜鉛ですが、実は身体のあちこちで機能する非常に重要なミネラル成分のひとつです。
皮膚やツメ、肝臓や骨、筋肉などに含まれており、亜鉛が不足することで肌荒れや骨粗しょう症の進行など様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、亜鉛不足は赤血球数の減少にダイレクトに影響するため、貧血症状をきたすリスクがあるのです。
妊娠中や授乳期の女性に多くみられる貧血の原因のひとつであり、男性の場合は勃起不全を引き起こすこともある亜鉛欠乏症。
この記事では、亜鉛不足による身体への影響と、自己判断での亜鉛過剰摂取による副作用のリスクについて解説していきます。
亜鉛欠乏症とは
からだの中の亜鉛量が極端に不足し、様々な症状を引き起こす状態を亜鉛欠乏症といいます。
日常的に大量に汗をかくスポーツ選手の場合、汗によって体外にミネラル成分が排出されてしまうことで亜鉛不足状態になりやすいと言われています。
また、お酒を多量に飲んだ場合も亜鉛欠乏状態になりやすく、毎日の飲酒習慣がある人も注意する必要があります。
亜鉛欠乏症の具体的な症状は?
亜鉛欠乏症になると、全身に様々な影響を及ぼします。代表的な症状をまとめてみていきましょう。
- 味覚障害
- ツメが割れる・へこむ、肌が荒れる
- 免疫力の低下
- 貧血症状
- 乳幼児の成長障害
- 勃起不全(ED)
もっともわかりやすい症状は「味覚障害」です。
亜鉛は味覚を感じる組織の代謝に深く関与しており、亜鉛不足になると味がぼんやりとしか分からなくなったり、急に味覚が変化するという症状が現れます。
また、亜鉛が不足すると血液中の赤血球がもろく壊れやすくなるうえ、新たな赤血球の生成も阻害してしまいます。
これによって血液中のバランスが崩れ、貧血状態に陥った状態が亜鉛欠乏性貧血です。
貧血というと鉄不足をイメージしやすいですが、亜鉛不足が原因となっている場合もあるのです。
妊娠中・授乳期の女性は亜鉛欠乏性貧血に注意
女性に多くみられる貧血症状ですが、鉄欠乏性貧血とならび、亜鉛欠乏性貧血を抱える若い女性患者が増加しています。
鉄分が十分であっても亜鉛が不足すれば血液自体が薄まってしまう可能性があるため、貧血改善=鉄材・鉄サプリとは言い切れないことに注意しましょう。
妊娠中~授乳期の女性の場合は特に注意が必要です。
お腹の中の赤ちゃんの成長にとって亜鉛は欠かせない重要なミネラル。そのため、母体にある亜鉛が優先的に赤ちゃんに送られるようになります。
産後の授乳も同様に、母親のミネラル成分が母乳によって排出されてしまうため、ママの体は亜鉛不足状態になりがち。
通常と比べ、1日の亜鉛必要摂取量は
- 妊娠中:約2倍
- 授乳期:約1.5倍
これだけの量の亜鉛を摂取する必要があるといわれています。
亜鉛を多く含む食品
亜鉛はカキやシジミなどの貝類に豊富に含まれています。肉類の場合、レバーなどの内臓組織に多く含まれるため、積極的に食事に取りいれるのがオススメです。
その他にも、チーズや牛乳などの乳製品、高野豆腐や納豆などの大豆製品、アーモンドなどのナッツ類でも亜鉛を摂取することができます。
亜鉛の特徴として、ビタミンCやクエン酸と組み合わせると吸収率が高まります。レモン果汁を使ったドレッシングなどと組み合わせることでより効率的に亜鉛を摂取することができますよ。
食事だけでは亜鉛不足になりがち
バランスのいい食事を毎日しっかり3食とれば、通常は亜鉛欠乏症になることはありません。
しかし亜鉛不足になりやすい方(妊婦、飲酒習慣、スポーツ習慣、利尿剤を服薬中など)の場合、食事だけでは必要摂取量を補いきれないことも。
不足しがちなミネラルを効率的に補えるサプリメントを食事と併用することで、効率的に亜鉛不足を解消することができます。
亜鉛の過剰摂取には要注意
ただし、亜鉛をサプリメントなどで補う場合は過剰に摂取しないよう注意しましょう。
亜鉛は必須ミネラルである一方で、過剰に摂取すると他のミネラル成分の吸収を阻害してしまうという特徴があります。
頭痛や吐き気などの症状に加え、長期にわたって過剰摂取を続ければ神経障害や原因不明の貧血を起こす可能性も。
サプリメントを服用する場合は1日の目安量をしっかりと守り、あくまで食事が中心だという点を忘れないようにしましょう。